退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【読書感想】大原扁理『なるべく働きたくない人のためのお金の話 』(百万年書房、2018年)

勝手に「隠居生活」シリーズと名付けているシリーズの最新刊です。「隠居生活」シリーズというのは、以下の3冊。3冊を刊行順に読んでみました。

20代で隠居 週休5日の快適生活

20代で隠居 週休5日の快適生活

年収90万円で東京ハッピーライフ

年収90万円で東京ハッピーライフ

なるべく働きたくない人のためのお金の話

なるべく働きたくない人のためのお金の話

ここでいう「隠居生活」というのは辞書に載っているような老後の悠々自適な生活ではなく、要は「無理に働かなくてもいいじゃね?」というシンプルなライフスタイルを自身の体験に基づいて紹介しているシリーズです。

この本も「お金」の話とタイトルがついていますが、財テクとか節約術といった類の本ではなく、実践的な内容も含んでいますが「生き方」の本です。おおげさに言えば哲学書の趣すらあります。

収入は少なく華やかな都会の生活とは無縁の生活ですが、ギリギリまで生活費を節約してガマンしている様子はありません。むしろこうした生活を楽しでいるようです。いわゆる消費生活から離れれば、東京にいても、このような自分の時間を大切にする暮らし方ができる事例として興味深いです。

筆者は、上京後まず杉並区のシェアハウスで暮らし始めますが、過度の忙しさが嫌になり、郊外に転居して生活を建て直します。新居のアパートはなんと家賃28.000円也。ロフト付きのワンルーム

どこまで郊外に行けば、その家賃のワンルームがあるのか。八王子あたりかと想像していましたが、これまで具体的な地名は明かされませんでした。しかし、この最新刊でそれが国分寺市だということがわかりました。「えー」と驚きました。事故物件ではないようですが、あるところに掘り出し物があるんですね。

郊外の「隠居生活」をエンジョイしていた筆者は、現在台湾に移住したとのこと。巻頭で台湾移住を知りましたが、これも「えー」という感じです。何を思って移住してのか言及はありませんでしたが、きっと別の本で語ってくれることでしょう。

このシリーズのまま実践できるかはわかりませんが、ひとりの時間を大切するライフスタイルに興味がある人は3冊まとめて読んでみると発見があるかもしれません。オススメします。

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