退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

「さよなら平成、こんにちわ令和」で思った皇統の危機

ついに令和の時代を迎えた。おっさん世代にとっては二度目の改元だが、前回とはまったく雰囲気がちがう。前回は昭和天皇崩御にともなう改元だったため、日本全体が自粛ムードが漂い、ひたすら暗かった記憶がある。

今回はうって変わって、改元に向けてカウントダウンのイベントが行われたり、平成を振り返るテレビ番組が放送されたりして、まるでお祭り騒ぎである。まあ、テレビ局のお宝映像が蔵出しされて楽しめたのはよかった。

さらに天皇の退位、新天皇の即位に関連した以下の宮中の儀式がインターネットせ中継されたのも新しい時代を感じさせた。

しかし皇位継承の一連の儀式を観ていて、このままで本当にいいのかという思いを強くした。皇位継承の議論はどうなったのだろうという懸念である。今回の皇位継承を契機に議論が深まることを期待したかったが、残念ながら目立った動きはまったくなかった。

現在の皇室典範は、「皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する。」と定めている。現在の皇室の系譜を見ると、だれも口に出さないが、このまま何もしないと象徴天皇制は自然消滅する可能性が高いことは明らかである。

念のため、現在の皇統継承順位を示すが、なんとわずか3人しかいない。

  1. 秋篠宮文仁親王
  2. 悠仁親王
  3. 常陸宮正仁親王

秋篠宮今上天皇と同世代であり、常陸宮は高齢であることを考慮すると、もはや悠仁親王に皇統維持を期待するしかない。

問題はかなり深刻で、すでに手遅れの感もあるが、あまり国民的議論になっていない。先日放送されたNHKスペシャル「日本人と天皇」で皇統継承問題を取り上げていたが、視聴者に問題の重要性が伝わったのだろうか。

この番組では、三笠宮が戦後の皇室典範改正時に皇統継承問題について意見書を出していたことを紹介していた。先見の明があったといえるだろう。当時はGHQの手前、十分な議論ができなかったのかもしれないが、独立を回復したあとに見直さなかったことのツケは大きい。

このままでは、いずれ象徴天皇制は何もしないまま自然消滅の憂き目を見ることになるだろう。私はそのまま共和制に移行しても構わないが、天皇の車列に涙する人たちの映像を見ると、それでは納得しない人たちが相当数いるのはまちがいない。

問題を先送りしないで、きちんと議論して制度を改定すべきは改定するのは、現代の政治家の責任であろう。

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