上野の東京都美術館で開催中の「ゴッホ展 巡りゆく日本の夢」を見てきました。フィンセント・ファン・ゴッホ(Vincent Willem van Gogh, 1853-1890)は、ある時期、浮世絵を始めとする日本文化に強い関心を寄せていました。この展示会ではファン・ゴッホと日本の相互の関係を探っていきます。
第一部はファン・ゴッホのジャポニスム。19世紀末、ファン・ゴッホのみならずフランスを中心に日本趣味が西洋の作家に大きな影響を与えた。ファン・ゴッホを作品と、同時代の画家や浮世絵によって、日本に魅せられていたファン・ゴッホの実像に迫ります。
第二部は日本人のファン・ゴッホ巡礼。現代でも日本人がゴッホ好きなのはよく知られていますが、彼の死後、1920年代には近代日本の知識人たちが、ファン・ゴッホの生の軌跡を求めて墓地があるオーヴェールを巡礼しています。その巡礼の記録を基にした展示です。
見どころは日本厨だったころのファン・ゴッホの作品と、元ネタになった浮世絵との対比でしょうか。日本の憧憬から脱したころの作品の展示もあり、ファン・ゴッホがどのように日本文化を自らの作風に取り入れていったのかをうかがい知ることができます。テーマがはっきりしてよい展示会でした。
余談ですが、音声ガイドで常盤貴子がナビゲートしていました。舌足らずの声が美術展に合わないなあと思いましたが、不思議と印象に残る声なのでさすが女優としてはアリだなと思った次第です。