退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【読書感想】竹内薫『学年ビリから東大へ進み、作家になった私の勉強法 英数国の成績が劇的にアップする』(PHP研究所、2017年)

本の帯にNHK EテレサイエンスZERO」のナビゲーターの姿を見つけたので読んでみた。中高生向けに今後の社会動向と勉強法を紹介する本。文字サイズが大きく、重要と思われる箇所には蛍光マーカー風のアンダーラインがあり読みやすい。

タイトルに「学年ビリ」とあるのは本当なのだろうが、「ビリギャル」を想起させられ軽薄な印象を受けると同時に経歴を見るとちょっと嫌味に思えた。タイトルは出版社が意向で決まるというから、この本もそうなのかもしれない。

通読してあまり目新しいことはなかったが、個人的にはニューヨークの現地小学校に転校し、カナダのマギル大学で博士号を取得したという筆者の経歴から、どのような英語勉強法を紹介するのか興味があった。

これからは「聞く」「話す」能力が大事になると唱え、「音」から入る英語学習法を提案しているのが印象に残った。具体的には、以下のとおり。

  1. 音声教材を用意する
  2. 音だけを聞く
  3. テキストを「ちら見」する
  4. もう一度聞く
  5. 発音してみる

ここでお手本の教材と自分の発音を録音したものを比べるのを何度も納得できるまで繰り返せととある。これからは入試においても英語の四技能を民間試験により測るようになるいうから、理にかなっているのかもしれない。

英語の重要性を強調する一方で、母語であり思考のための言語である日本語の習得が最も大切だとする主張も腑に落ちる。

本書の冒頭で人工知能などの技術進歩により、社会が大きく変わり人間に必要とされる資質やスキルが大きく変わっていくという予測が示されている。最近よく見かける予測だが、いまの学生は時代に画期に立っていて大変だと同情したくなる。まあ他人事ではないのだが……。

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