新文芸坐でスペイン映画『マジカル・ガール』(2014年、監督:カルロス・ベルムト)を鑑賞。劇中で日本の架空の「魔法少女シリーズ」の主題歌として、長山洋子のデビュー曲「春はSA・RA・SA・RA」が使われていて強い印象を残す。
- 発売日: 2016/10/05
- メディア: Blu-ray
少女アリシアは白血病で余命いくばくもない。そんな彼女の最後の願いはアニメ「魔法少女ユキコ」のコスプレをすること。しかし彼女の父親ルイスは失業中で高価な衣装を買い余裕はない。思い余って宝飾店のショーウィンドウを割って強盗を働こうとするが、その寸前に吐瀉物が降ってくる。
思いがけない出会いで精神科医の妻バルバラとで知り合ったルイスは、彼女に乞われて一夜を彼女と共にする。それをネタにコスプレ衣装の代金を彼女から脅し取ろうとする。
バルバラは旧友を訪ねて一夜だけ「トカゲの部屋」で売春して金を稼いでルイスに渡す。ルイスは衣装をアリシアに買い与えるが、彼女は魔法のスティックがついていないことに不満そうな様子。そこでルイスはさらにバルバラを脅して金を要求する。やむかくバルバラは再び「トカゲの部屋」を訪れるが……。
予告編を見たとき病気の少女をめぐるハートウォーミングな映画かと思ったがまったくちがった。ネタバレはやめておくが救いようのないエンディングに唖然させられる。これでいいのか、と小一時間問い詰めたい。こういうのが見たいわけじゃなかったのだが……。DVDのジャケットも怖い。
余談だが、売春館のトカゲの紋章は江戸川乱歩の「黒蜥蜴」からの引用だろうか。エンドロールでは美輪明宏の「黒蜥蜴の唄」をピンク・マルティーニがカバーした曲が使われていた。先の長山洋子といい相当の日本好きの監督のようだ。