退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『エヴェレスト 神々の山嶺』(2016) / 山とはいったい何なのか?

新文芸坐で開催中の《平山秀幸映画屋〈カツドウヤ〉街道40年記念祭り》で映画『エヴェレスト 神々の山嶺』(2016年、監督:平山秀幸)を鑑賞。夢枕獏による小説『神々の山嶺』の実写映画化。『魔界転生』が併映でなければ見なかっただろう。

実際にネパール、エヴェレストに登り、標高5,200M級での撮影に臨んだことが話題になった。映画自体が前人未到と騒がれた記憶があるが、VFXが進歩した今日では観客にあまり関係がない。映画の面白さとも別だろう。正直あまり感心できなかった。

山に取り憑かれた男たちの物語だが、まずそれに共感できるがどうかで評価が分かれ目だろうか。私は誘われればトレッキングに出かける程度なので、これほど山にこだわるのかさっぱり分からない。本格的な登山経験がある人であれば見方もちがうのだろし、登山のディテールについても楽しめるのかもしれない。


「エヴェレスト 神々の山嶺」予告編

出演者は、岡田田准一、阿部寛尾野真千子と豪華。とくに岡田、阿部は過酷な撮影でガンバっているのは伝わてくるが映画が面白いかとは別の話。致命的なのはなぜ男たちが山に取り憑かれているのかを最後まで納得させてもらえないことだろう。尾野真千子が演じるヒロインの存在も希薄。

局所的には阿部の鬼気迫る演技が見るべきものがあるが、せっかくの熱演が活かされる舞台は用意されていないのは残念。原作は未読だが、おそらく原作小説のエッセンスが映画に十分反映されていないのではないかと想像する。

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