NHKの土曜時代劇「一路」(全9話)を見終わった。浅田次郎の時代小説の映像化作品。参勤交代の差配を任された若輩・小野寺一路(永山絢斗)の奮戦ぶりを描く。古式ゆかしい行列仕立て、中山道を江戸に向かうロードムービー。
映像面では松竹が参加していているためか手堅い演出で、参勤交代のロケ映像も見応えがあった。民放では時代劇のレギュラー番組はなくなってしまったので、テレビで毎週時代劇が見れるのは貴重な機会と言える。
しかし原作では上下巻の長編を映像化するのは難しかったのだろうか。原作は未読なので比較はできないが、外連味がないというか優等生的なドラマであまり面白くない。努力すればなんとかなるというのは高校生の部活までだろう。イイハナシダナーというドラマ。
そもそも当主の蒔坂左京大夫(渡辺大)が「うつけ者」のふりをしている理由がよくからない。最初から当主としての威厳を示していれば叔父の蒔坂将監(佐野史郎)がお家乗っ取りの野心を抱くこともなかったではないか。いろいろ見落としているかもしれないがどうも腑に落ちない。
このドラマは2015年「BS時代劇」で各話43分の枠で放送されていたものを、35分に編集して「土曜時代劇」として放送されたとのこと。そのせいかシーケンスが不自然に思えるところが散見される。ケチケチしないでそのまま放送すればいいものを……。
さて「一路」終了後の土曜時代劇の枠はどうなるかと思ったら、しばらくお休みで9月から忠臣蔵をやるらしい。手持ちの作品がたくさんあるのだから切れ目のないように放送してほしいものだ。