退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『ブラック・コメディ ああ!馬鹿』(1969) / 小沢昭一主演のサラリーマン残酷物語

シネマヴェーラ渋谷の《開館10周年記念特集II シネマヴェーラ渋谷と愉快な仲間たち》の【小西康陽セレクション】で映画『ブラック・コメディ ああ!馬鹿』(1969年、監督;須川栄三)を鑑賞。小沢昭一主演の知られざる怪作。

常務(小林桂樹)の二号さんであるテル子(高橋紀子)に惚れた係長(小沢昭一)の悲劇を描くサラリーマン喜劇。芸達者の小林桂樹小沢昭一のコンビネーションも楽しいし、下着姿やセミヌードも披露している高橋紀子のコケティッシュな魅力も味わえる。平凡なBG(ビジネスガール、死語)に見えた高橋が、男たちを翻弄する自由奔放な女に豹変するところが見どころか。

いわゆるサラリーマン喜劇のジャンルに分類されるのだろうが、死体遺棄を扱うなど従来の東宝喜劇とは異なりあまり笑えない暗いトーンの作品。タイトルでわざわざブラック・コメディと謳うのも納得できる。

ストップモーションを効果的に使う演出に見るべきものはあるが、当時、観客にはウケなかっただろうなと推測する。あと真鍋理一郎が歌う主題歌が素敵だったことも付言しておきたい。高橋紀子を愛でる映画。

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