炎上を続けていた佐野研二郎氏の「五輪エンブレム」が白紙撤回されました。9月1日、大会組織委員会が会見を開き、エンブレムの使用中止を表明しました。会見の様子は下記のとおりです。
「一般の国民の理解を得られない」から取り下げる!?
会見は長いわりにはあまり要領を得ず、なぜエンブレムを取り下げるのかさっぱり分かりません。五輪組織委によれば、「デザインは模倣でないが一般国民の理解を得られない」から取り下げるということのようです。
この武藤敏郎事務総長の発した「一般国民」という言葉すごい。「何様?」という感じです。さすがに東スポの記者が「一般国民とは誰のことか」とツッコんでましたが、言葉を慎重に選びながらのらりくらりと質問を回避していました。天才的な回避スキルです。
この渦中の人なのに終始他人事のように会見に臨んでいた武藤敏郎事務総長は、元・大蔵官僚で事務次官まで上り詰めたが、日銀総裁にはなり損ねた人物です。上から目線や驚異的な回避能力(回避できてないけど…)は官僚出身だとすれば納得です。
これだけの事態を引き起こしたにもかかわらず責任問題についてはのらりくらりと答えるばかりで、責任をとる気は毛頭ない様子。すっかり他人事なんですね。無責任すぎます。
海外メディアの反応は剽窃疑惑で一色
「デザインは模倣でないが一般国民の理解を得られない」から、今回エンブレムを取り下げます、と言っても海外には通用しません。今回の騒動は海外メディアにも大きく取り上げれ、見出しには、"plagiarism"(剽窃)の文字が踊ります。まったく恥ずかしいですね。
先日の新国立競技場の計画が白紙に戻された件と併せて「日本は本当に大丈夫なのか」という論調も目立ちます。こうした大規模プロジェクトもきっちり仕上げるのが日本のお家芸だったのにどうしたことでしょう。日本の劣化がここでも顕在化した印象を受けます。
まとめ
遅きに失した感がある「白紙撤回」ですが、既にスポンサーがエンブレムを使って広告を出していて、街やテレビでも見かけることがあります。これは全部作り直しということですよね。当然、スポンサーは損害賠償を請求することになりますが、どのくらいの損失になるのでしょう。
先日の新国立競技場の問題といい、こんかいのエンブレム問題といい、もうテンション下がりまくりです。正直言って「五輪とかどうでもいいや」という気分です。
心配なのはいずれの問題も誰一人として責任を取らないことです。どんなに大きな問題が起こっても誰も責任を取らない組織が五輪を運営している事実は驚きです。「二度あることは三度ある」とは思いたくありませんが、おそらく同じような問題が次から次へと起こるのではないかと心配でなりません。