退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

コミック『ベルサイユのばら』(第12巻)を読んでみた

昨年、少女マンガの金字塔『ベルサイユのばら』の連載が終了してから40年を経て、エピソード編と銘打った新作の短篇集が発表されて話題になりました。この本はこれに続くエピソード編の2冊目です。

今回は2つの比較的長いエピソードが収録されています。

1つ目は、オスカルの副官だったジェローデルの話です。オスカルに思いを寄せるジェローデルとフェルゼンの妹の関わりを描きます。ラストはジェローデルがスウェーデンから、死地というべき革命に沸くフランスに戻り消息を絶つという幕切れです。

2つ目は、ロレーヌ公国で生まれた恋、すなわりオスカルの両親の出会いから、オスカル出生の秘密が明かされます。同時にマリア・テレジアと結婚し、ロレーヌを放棄させられるロレーヌ公(後のフランツ1世)の運命も描かれます。こちらはマリー・アントワネットの両親ですね。

ちなみに物語では、1755年、アントワネット、オスカル、フェルゼンの3人の主要キャラクターが同じ年に生まれたいう設定でした。

とくに2つ目のエピソードは、18世紀のフランスを始めとするヨーロッパの情勢を感じさせる厚みのある話です。画力はともかくとして、ストーリーテラーとしての力量はさすがです。カバーには「以下続刊」とあるので、今後も新しいエピソードを楽しめそうです。期待しています。

f:id:goldensnail:20150912190620j:plain:w420

【関連記事】