話題の映画『セッション』(2014年、監督:ミアン・チャゼル)を見てきた。上映館が少ないから仕方ないけど大混雑。覚悟の上でGW中に見ておきたかったので遠方まで足を運ぶ。原題はWhiplash といい、「ムチで打つこと」ぐらいの意味だが、劇中で重要な曲であるジャズのスタンダード・ナンバーの題名でもある。
名門音楽大学に進学しジャズドラマーを目指す19歳のネイマン(マイルズ・テラー
)が主人公。そこで鬼教授フレッチャー(J・K・シモンズ)のジャズバンドにスカウトされる。
才能を認められたを喜んだのも束の間。フレッチャーの苛烈な「指導」に震え上がるネイマン。映画『フルメタル・ジャケット』の鬼軍曹だ。しかも面罵されるだけでなく、ビンタを喰らいイスを投げつけられついに泣き出していまう。
雪辱を果たすべく、スティックを握る手から大量に出血してしまうほど猛練習に励むネイマン。まるでスポ根のような展開。数々の試練を乗り越え、ついにネイマンは主奏者の地位を獲得する。紆余曲折の後、ネイマンのチクリにより、常軌を逸した指導が大学側にバレてフレッチャーはクビになり、そしてネイマンは退学になる。
数年後、二人は街で再会し、フレッチャーが率いるプロのバンドでネイマンがドラムを演奏することになる。二人は和解して大団円で終劇かと思いきや……。ラスト10分ぐらいがスゴイ。まあそんな分かりやすい話だ。
映画としては今年のベストと言っていいほど面白い。アカデミー賞で助演男優賞を受賞したJ・K・シモンズの演技もさすがというところ。ただ青春映画なのにヒロイン不在なのはさみしいが、映画の性質を考えるとやむを得ないところか。
しかし、個人的には音楽とりわけジャズと「スポ根」は馴染まないと思う。またちょっと打楽器をかじった者としては、こうした非科学的なトレーニングではドラムは上達しないと思うのだがどうなんだろう。専門家を意見を聞きたいところだ。