退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

岡本喜八監督特集でテレビ時代劇『着流し奉行』(1981)を見た

シネマヴェーラ渋谷の《岡本喜八監督特集》で、テレビ時代劇『着流し奉行』(1981年、フジテレビ)を鑑賞。原作は山本周五郎町奉行日誌』。

享和年間、西尾藩では町奉行の交代が相次ぐなか、場外の悪の巣窟を大掃除するため新任町奉行・望月小平太が江戸から呼び戻される。裃袴が嫌いな不良奉行の誕生である。しかし小平太はなかなか出仕しない。「今日も出仕なし」と奉行所の日誌に延々と書かれていく……。

主演の仲代達矢を初め、中谷一郎岸田森殿山泰司天本英世小沢栄太郎などの豪華キャストが集結して演技を競うテレビ時代劇。岡本喜八ならでは豪華キャストなのだが、テレビの制約なのか殺陣にキレがない。クライマックスの役所広司岸田森の対決シーンに期待が高まるが、やや拍子抜けした。

それでも時代劇としては十分面白い。時代劇が衰退したいまでは、このようなテレビ時代劇を望むべくもない。こうして名画座で見ることができるのは貴重な機会。

ちなみに原作の山本周五郎町奉行日誌』は、後年、役所広司主演で市川崑監督により『どら平太』(2000年)として映画化されている。役所広司が、このテレビ時代劇に端役で出演しているのも巡り合せというべきか。

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