退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『私の男』(2014) / 流氷の街を舞台にしたインモラル・アフェア

目黒シネマで『私の男』(2014年、熊切和嘉監督)を鑑賞。桜庭一樹の同名小説の映画化。

奥尻島地震による津波により、10歳で孤児となった花(二階堂ふみ)を引き取ることになった遠縁の淳悟(浅野忠信)。ふたりは北海道の紋別で父娘として暮らすようになる。互いに寄り添うふたりの間に禁断の愛が……。と、いったインモラルな愛を描いた作品。

私の男 [Blu-ray]

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見どころは北海道編におけるオホーツク海の流氷という舞台設定だろう。流氷が広がる海の風景や、広大な流氷の上で展開するドラマは観客を魅了する。近親相姦のドロドロした男女関係と乾いた紋別の空気感のバランスも面白い。

出演者のなかで注目はやはり二階堂ふみだろう。ヒロイン・花の学生時代から成人までの長い期間を演じている。なるほど熱演しているがまだまだ演技は青い。前評判では「体当たりの演技」が話題になっていたが、それほどの露出はない。

予告編で女性がヌードでうつぶせになっていたシーンがあったが、それは二階堂ではなくて、銀行に務めるOLを演じた河井青葉という女優だった。ちょっとがっかり。まあ何でも脱げばいいというものではないが、10代のうちに脱いでほしかったと思うのは私だけではあるまい。

東京に舞台が移ってからは、花の結婚相手との食事会に出かける浅野忠信が雨のなかスーツ姿なのにサンダルを履いて銀座四丁目あたりを歩いていくシーンが印象的。なぜサンダルなのか意味がわからないが、インパクトのある映像だった。


『私の男』劇場予告編 - YouTube

原作を読んだ人によれば、原作では時系列を遡る構成になっているそうだ。そのまま映像化すると『メメント』のようなややこしい映画になったかもしれないが、それのほうが味わいがあったかもしれない。また花が養子として引き取られてからインモラルな関係になるプロセスがあまり描かれてないのが不満。原作ではどうなっているのか気になる。

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