退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

負け続けた季刊誌『SIGHT』の(事実上の)最終巻を読んでみた

ロッキング・オンより刊行されていた季刊誌『SIGHT』(2014年夏号)が手元に届いたので読んでみました。発売時に図書館に予約していたものが、ようやく順番が回ってきました。こんなに待たされるのは初めてです。まだ待ち行列が続いているようなのでびっくりです。

本号には「刊行形態変更のお知らせ」という案内があり、今後は不定期刊行誌として再出発するというメッセージが載っていましたが、まあ事実上の廃刊と言ってもいいでしょう。

SIGHT (サイト) 2014年 08月号 [雑誌]

この雑誌は、リベラルを基調とした左派的な論調で、最近では反安倍政権、そして反原発を唱えた記事が多かった。「集団的自衛権」「特定秘密保護法」について反対し、選挙前には反自民、反安倍政権を打ち出していましたが、ことごとく負け続けてました。原発再稼働については、まだ現実にはなっていないものの再稼働は政府のエネルギー戦略の要と位置づけられており、時間の問題でしょう。

ことほどさように本誌で反対したことが、ことごとく現実になってしまうという珍しい雑誌でした。ここ数年負け続けて、ついに意気消沈して廃刊になったと勘ぐりたくもなります。

この雑誌は、あまり他誌では見ないインタビュー記事がメインで構成されていて、読み応えがありました。単行本にもなった内田樹高橋源一郎の対談も楽しみでした。

他には泉麻人の「青春のJ盤アワー」という連載エッセイも欠かさず読んでいて、泉さんとは世代は違うものの紹介されたアルバムを聞いて悦に入ったりしていました。エッセイは最終巻で第29回でしたが、なんとか単行本にまとめてほしいものです。

この雑誌の政治信条に必ずしも賛同していたわけではありませんが、政治メッセージをストレートに発信する貴重な雑誌だったのに廃刊は残念です。一応出版社は不定期に刊行すると言っているので、いつの日にか再会できることを楽しみにしています。