近くのシネコンで映画『フューリー』(2014年、デヴィッド・エアー監督)を見てきた。第二次世界大戦の終盤、ドイツ本土決戦を舞台とする戦車映画。ブラッド・ピットが出演しているが、主役は戦車兵として配属される米軍の新兵・ノーマン( ローガン・ラーマン)だろう。彼が過酷な戦場で一人前になっていく成長譚である。
ちなみに「フューリー」(fury)というのは、「怒り」という意味だが、彼らの搭乗するシャーマン戦車の名前。フューリー号というワケ。
この映画は現存する本物のティーガーI戦車が登場することが話題になっている。4台のシャーマン戦車と1台のティーガーI戦車との激突する戦車戦が最大の見どころ。迫力満点。被弾して砲台が吹っ飛ぶシャーマン戦車は必見。
ブラピ率いる戦車小隊は4台中3台のシャーマンを撃破されるも、辛くもティーガーを撃破。いくらティーガーが強力でも死角を突かれると脆い。松本零士の漫画でも「戦車は集団で運用して真価を発揮する」みたいのがあった記憶が……。お互いに死角を補うように戦わないとダメだ。こうなるともっと大規模な戦車戦を見たくなるが、この映画ではその願いは叶わない。
クライマックスは、1台になったブラピのシャーマンが、戦略上重要な十字路を守るためにドイツ歩兵と戦うシーンだ。戦闘シーンは迫力があり見応えはあるが、戦車が戦闘前に地雷を踏んで走行不能になり固定砲台になり下がるところがちょっと不満。これでは戦車映画の魅力が半減。
戦車は縦横無尽に走り回ってこそ戦車。最後は大規模な戦車戦で締めてほしかった。いい映画なのだが、見たかった映画とちょっと違った。まあ映画館で戦車戦を見られただけでよしとしよう。
昔、タミヤ模型のプラモデルで戦車を組み立てたおっさんは間違いなく必見です。