都知事選が終わりました。フタを開けてみれば下馬評どおり舛添要一の圧勝でした。少し今回の都知事選を振り返ってみます。
舛添要一の圧勝
今回の選挙では舛添候補は、自民党や公明党の与党からの支持に加え、なんと連合東京からの支援も受けて万全の体制でした。そして結果は、他の候補にダブルスコアをつけての圧勝でした。除名になった自民党からも支援を受けるとは節操がないなあとも思いますが、これが「政治」というものでしょう。
このように舛添候補は多くの利害関係団体から支援を受けていました。そのため選挙運動中は下手な言質を取られまいとしたのか、訴える政策は具体性を欠き、玉虫色の言動が目立ちました。とくに「再生エネルギーを20パーセントにする」と言ってましたが、いつまでにやるのか明らかしていないので、これでは達成したどうかも評価できません。困ったものです。
しかし候補者を並べて経歴などをみると、巨大な行政組織をマネジメントして、都議会とうまく折り合いつけて、山積する課題を解決できるのはは舛添候補しかいないと都民が考えるのも無理からぬところかもしれません。やはり厚生労働大臣の経験と、そこで培った知名度が勝利に大きく寄与したと言えるでしょう。
反原発候補の一本化ができていれば……
今回の都知事選の話題は「脱原発」が争点になるかという点でした。アンケートの結果を見ると、やはり「少子化・高齢者対策」「景気対策」などへの関心が高く、「エネルギー政策」への関心はそれほどでもありませんでした。
とは言うものの、反原発候補の一本ができて世論を喚起できていれば多少は結果が違ったかもしれません。例えば、細川護煕候補に一本化して当選した暁には、どうせ殿は「良きにはからえ」ということに決まっているから、宇都宮健児候補が副知事になって福祉政策を担当するといったシナリオは描けなかったのだろうかという思いは残ります。
結果を見れば、舛添候補は210万票を超える得票を集めたのに対し、宇都宮候補、細川候補はいずれも100万票に届きませんでした。単純に2人の得票を合わせても舛添候補に及ばなかったとうのが選挙結果でしたが、早期に一本化できていれば選挙戦の行方も変わっていたかもしれません。
投票率が低かったけどどうなってるの?
投票率は、46.14パーセントと過去3番目に低かったそうです。都政の転換点になるかもしれない大事な選挙だったのに半分の人が投票しないとは驚きです。予想以上に関心が低いということでしょうか。
「すべて雪のせい」という意見もあります。たしかに今回の選挙は悪天候で浮動層が選挙に行かなかったために組織票がより強みを発揮したという側面もあったかもしれません。がっちりした組織のバックアップを持つ候補は断然有利ですね。
またネットでアンケートをすると必ずといってよいほど田母神俊雄候補がトップでした。ネトウヨと言われる層ですが、今回の選挙は投票したのでしょうか。ネトウヨは雪の日は外出しないということでしょうか。まあネットの勢いが実際の投票行動と結びつかないということが明らかになってきました。「ネット選挙」で政治が変わると騒いでいたのは何だったのでしょう。
今後の都政、そして国政の行方
石原・猪瀬両都知事は特定の政党の支援を受けずに知事になりましたが、今回の舛添新知事は様々な組織票を得て当選しました。そうなると知事と都議会との力関係も変わってきて、都議会に跋扈する利権団体に迎合した都政になり、知事の独自色を打ち出すのが難しくなるかもしれません。
国政については、「反原発」が争点になるとされた都知事選の成り行きを見守ってペンディングになっていた、「エネルギー基本政策」が動き出しそうです。そのなかでは原発をエネルギーの重要な柱とすることが謳われるでしょうから原発再稼働に向けて一直線です。原子力規制委員会への圧力も強まりそうです。
そして首都・東京で知事・都議会を自公与党が抑えたことは、安倍政権の大きな自信につながるでしょう。ますます増長して、解釈改憲による集団自衛権の容認、さらには憲法第96条の改憲まで踏み込む可能性も否定できません。安倍ちゃんがどこまで暴走するか要注意です。くわばら、くわばら。