退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

橘玲『貧乏はお金持ち』

貧乏はお金持ち──「雇われない生き方」で格差社会を逆転する

貧乏はお金持ち──「雇われない生き方」で格差社会を逆転する

サラリーマンがマイクロ法人を設立するという思考実験を通して、会計、税務、ファイナンスの基礎知識を説明している。

日本では、自営業者などの「社会的弱者」が圧倒的に有利になっていることを説き、サラリーマンがその恩恵に浴するためには法人設立が有効だとしている。ただし、最後に自己責任ですよ、と書いてあるのがおもしろい。
また読み物としても、サザエさんの磯野家の例にとってマイクロ法人設立でいかに有利になるかを詳細に説明しているところや、エンロン事件やマイケル・ミルケンまで自由自在に話が弾み飽きさせない。

当たり前のことだが、「法人化しただけで収入は増えない。収入自体は、あくまでも自分の知恵と労働で市場から獲得しなければならいのだ」といい、本書では収入を確保する術までは言及されていないので注意が必要である。

そして「国家に依存するな 国家を道具として使え」と結んでいる。至言だと思うが一部の人には抵抗がある考え方かもしれない。

いろいろ考えせられるインパクトある本だった。少し時間をおいて、もう一度読んでみたい。