今年もバターが品薄である。近所のスーパーでもこんな有り様である。ひとり1個という前に棚が空っぽだ。
今年もバター不足
酪農・乳業の業界団体「Jミルク」によると、今年度は全国で7100トンのバターが不足するという。
その理由は、酪農家の廃業などで生乳の生産量は1996年度の865万トンをピークに昨年度は733万トンまで減っているという構造的なものである。それでも、牛乳が品薄にならないのは牛乳を優先的につくるためで、バターなどの加工に回す生乳が不足する傾向がある。つまり、いまや生乳は国内では自給できないのが実情である。
バターの輸入は国家貿易
自給できないならバターをどんどん輸入すればいいじゃないかと思うがそうはいかない。バターは国家貿易の対象品目であり、農水省所管の独立行政法人「農畜産業振興機構」がその輸入を一手に握っているのである。
名目上は酪農家の保護が目的であるが、保護しても生乳を自給できないというテイタラクである。なんのために保護しているのか、さっぱりわからない。無意味だ。やはり国家貿易自体が農水省の利権となってと考えるのが正しいだろう。
まあ百歩譲って国家貿易で輸入するにしても、スーパーの棚からバターがなくなるという事態にならないように、需給予想して先行して輸入する程度の仕事はできないのか。去年の品不足に何も学ばなかったのか。無能としかいいようがない。
バターの緊急輸入
このバター不足を受けて、農林水産省は27日、品不足が見込まれるバターを10月までに1万トン緊急輸入すると発表した。ケーキ向けの需要が高まるクリスマス前に輸入するらしい。
さすがにクリスマス・ケーキが店頭が消えるとマズいということらしい。しかし、この緊急輸入ではすぐにスーパーの棚にバターが戻ってくることはなさそうである。あさりバターや味噌バターラーメンをつくりたいのに……。
自由化待ったなし
酪農家保護を謳う保護貿易のせいで、バターすら買えない消費者の立場はどうなるだろう。TPPはいろいろ問題はあるが、もうヤケで例外なしの貿易自由化がいいじゃねと考えても不思議ではない。食い物の恨みは怖い。