- 作者: 友里征耶
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2009/11
- メディア: 新書
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辛口評論家として知られる筆者が、飲食店業界に蔓延する悪しき慣習や癒着、そして偽りにメスを入れようとする本です。「業界の裏情報」が小気味よく書かれていて読みやすい本です。
私自身は、この本の対象となっているような高額店に行く機会は、せいぜい年に数回程度ですが、料理やサービスが料金ほどではなくてハズしたときのショックは大きいものがあります。
冒頭、日本のフード・ジャーナリズムの貧困を嘆いていますが、やはりネットや雑誌などでリサーチしてもムダだということがわかります。やはり身近な人からクチコミで紹介してもらうのがよさそうです。
最終章で「良い飲食店の条件」を示していますが、この本では個別店の情報がいっさいないので、どうしたらこの良い店に辿りつけるのかわかりません。何度も試行錯誤できないだけに、日本にもまっとうなフード・ジャーナリズムが形成されることを期待したいです。
しかし、フード・ジャーナリズムだけでは生計が立たないという構造がある以上、状況の変化を期待するのはむずかしいかもしれません。どうやって飲食店業界の地位向上を図るのか。その具体案はあるのでしょうか。欧米諸国の状況についても触れてほしかったです。