- 作者: 中野雅至
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2009/10/13
- メディア: 新書
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キャリア官僚としての経歴をもち、現在は大学の准教授という筆者による公務員論。巷でよくみる一方的な公務員批判とは一線を画し、歴史的事実やデータなどに基づく客観的な記述に好感がもてる。
昨年、ようやく民主党が政権交代を果たしたことで、二大政党制が現実となってきた。そのなかで、公務員、とくに高級官僚にどのような影響があるのかということにとくに関心がある。民主党は、選挙前には中央官庁の首脳部の多くを政治任用するなどと言っていたが、どうなるのだろうか。本書では、戦前まで遡り二大政党制により、公務員人事が政争の具となり、その人事の独立性を損なわれた事例を挙げていて興味深い。
もうひとつ、地方公務員や第三セクターの職員は、将来まったく安穏としていられないという厳しい見方も示している。まあ、地方だと公務員がいちばんの高給取りとか、バカバカしい現実が以前より続いているらしいが、厳しい経済状況を背景にそれも長く続かないことが窺える。
学生時代の友人が民間企業にあっさり見切りを付けて、故郷の公務員に転職していったが、大丈夫だろうか。まあ厳しい時代になったと同時に、新たな時代への過渡期でもある。ここ数年は、日本が三流国に凋落していくかどうかが決まる大事な時期であり、公務員だけでなくあらゆる分野に様々な影響を見ることができる。しっかり見据える必要がありそうだ。