- 作者: 鎌田浩毅
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2009/04/03
- メディア: 単行本
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勉強法についての類書に目を通している人には、あまり目新しい内容はないかもしれない。
これを「一生モノ」というのは、やや大仰ではないかとも思うが、気軽に始めることができるアイディアが満載なので、いろいろと自分なりに試すという読み方がよいのだろう。とくに時間の有効利用については読む価値がある。
私もさっそくできることからと思い「起床した際に水を飲む」(p.76)を始めてみたが、いい感じである。
実は、本書でいちばんインパクトがあったのは「はじめに」だった。のっけから、勉強について次のようにある(p.2)。
アウトプットを認めてもらえないような勉強は、ちょっときつい言い方かもしれませんが、大人にとっては「価値」がないのです。
見事に言い切っている。これが金儲けの汲々としているビジネスマンの発言ならば、さもありなむと納得するのだが、大学教授という安楽イスに座っている筆者の言であることを考えあわせると重みがある。でも「アウトプットが認められる」という基準を決めるのは意外にむずかしいのではないかと感じる。
また専門分野の知識のほかにも、人間力を認めてもらうのも勉強だと述べていて、なるほど説得力はある。筆者は、古典やオペラ鑑賞に熱心な様子だが、これなどはますます評価がむずかしい。
まあ人に認められることに、それほど執着していないダメ人間の私にとっては、個々のテクニックは別にしても、基盤をなす思想に相容れないものを感じたのも事実である。それほど人に認められることが大事なのか、という疑念である。