以前読んだ、湯浅誠『どんとこい、貧困!』で参照されていた『AERA』(2008年3月31日号)の「現代の肖像・湯浅誠」(p.72)を読んだ。
「現代の肖像」で取り上げられる人は悪くは書かれないが、この記事の湯浅氏も冒頭の写真を含めカッコよく描かれている。所沢にある安アパートで蔵書に囲まれて著書を書き上げたあたりはしびれる。
以前から、官僚や政治家になってトップダウンで社会を変革しようとは考えなかったのか、という点に興味があったのだが、この記事でも「組織が嫌いで、就職は考えなかった」とあるだけ釈然としない。また学者になることをあきらめたのも、父親の死がきっかけだというだけで「ズルズルと流されちゃった」と、はっきり決断を下したのではないことが窺えるが、やはり判然としない。
余談となるが、この記事のすぐあとに、和田秀樹がゲストで登場した連載「山本モナのあなたを知りたい」が載っており、和田氏の監督作品である映画「受験のシンデレラ」が話題にあがっていた。湯浅氏のストイックなまでの社会への真摯な姿勢とは対照的に、和田氏の俗物ぶりが際立っていて面白かった。とりあわせの妙というところか。