シネマヴェーラ渋谷で「瞳の中の訪問者」(1977年、大林宣彦)を観る。手塚治虫の人気コミック「ブラック・ジャック」のエピソードの実写化。大林宣彦監督の第2作。
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- 発売日: 2003/08/22
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「ブラック・ジャック」を原作にしているが、ブラック・ジャック自身は角膜移植の手術をする程度の脇役で、ストーリーにはあまり絡んでこない。あくまでも、ホリプロによる片平なぎさ主演のアイドル映画という企画である。
それにしても宍戸錠が扮するブラック・ジャックは、そのキャスティングに驚かされるが、人物造形もすごい。そんな人間いないよ、と思わず叫びたくなる程だ。
作風に、大林宣彦監督の第1作『HOUSE ハウス』を想起させるものがあるが、アイドル映画のせいか抑制されすぎていて中途半端で物足りない。そもそも小さなエピソードで一本の映画を作るのが無理筋なのかもしれない。まあ、ピノコがかわいいのはお手柄か。
片平なぎさ×峰岸徹の演技が濃いのが印象に残る。それも嫌いではないが、決して映画向きではないようだ。後年、片平は2時間ドラマの女王を呼ばれるが、この映画ではその片鱗を感じさせる。まあ、あまり見るべきものがない映画だが、片平のルームメイトに志穂美悦子が出演しているのは、思いがけない収穫だった。かわいい。
はっきり言って失敗作なのだが、これで監督生命が終わりにならず、その後、多数の作品を残せたのは、やはり大林監督が偉大だということの証左であろうか。