この作品を、現代版・小津安二郎作品という人がいるが、いまこれだけリアルな家族ドラマを撮れる作家は他にはいないのではないか。台所や食卓のシーンのディテールがとてもうまい。
出演者に芸達者が揃っている。そのなかでも樹木希林が出色。近年、老母の役を演じたら、彼女の右に出る者はそうはいない。長女役のYOUもかわいい。
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阿部寛と夏川結衣の夫婦も健闘しているなと思ってみていたが、このふたりはどこかで観たことあるなと思ったら、テレビドラマ「結婚できない男」で共演していた。このドラマは結構好きだったが、二人の交際がはじまるところで終わる。この映画では、前夫との子を連れているのだが、ま、夏川結衣なら、「こぶ付き」でも問題ないぜ、という人も多いだろう。
最近、老いた親が登場するホームドラマをよく見かける。この類のテーマを持ってくるのは、ある意味反則かなとも思うのだが、この映画はそうした懸念を超越した完成度がある。
タイトルの「歩いても 歩いても」は、劇中に登場する歌謡曲である、いしだあゆみ「ブルー・ライト・ヨコハマ」の歌詞の一節だろうか。なんとも微妙なところから、とったものだ。
結局、見終わって親孝行しなくては、と思わせる映画ということになるのか…。