退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

『千年女優』(2002)

アニメ映画『千年女優』(2002年、今敏)を、近くのシネコンの「傑作アニメセレクションVol.2」という企画で鑑賞。

千年女優 [DVD]

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現在と映画が倒錯するシチュエーションはユニークだし、社長とカメラマンの掛け合いも面白い。また、時代劇、怪獣映画、SF映画などのシーンが目まぐるしく登場する七変化の場面には往年の日本映画へのオマージュが見え隠れして興味深い。またスターシステムが機能していた頃の映画制作現場への思い入れも感じられるが、実際はもっと監督が威張っていてアクの強いものではなかったかと勝手に想像する。

この映画は女優の一途な恋がポイントであるが、わずかの時間をともに過ごしただけの男に、あれだけ執着できるものなのかという点には、やや疑問が残る。その点が引っかかるのでストーリーにいまひとつ作品に入っていけなかった。

これを観て、潤沢な予算をかけて実写でリメイクできないかと思った。とくに「華麗な七変化」のや「スタジオでの撮影風景」を実写で見てみたい。ただ、これに堪えるスター性のある女優はもはやいないのかもしれないが。

あとタイトルの「千年女優」というのは、やや大袈裟かなと思った。このタイトルから、どうしても松本零士の「1000年女王」を想起してしまうが、問題なかったのかしら。