先週、キネカ大森でアニメ映画『パーフェクトブルー』(1997年)を見てきた。本作は今敏監督の初監督作品。今敏監督の二本立てプログラムで、併映は『千年女優』(2002年)だった。
- 出版社/メーカー: ジェネオン エンタテインメント
- 発売日: 2008/02/29
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霧越未麻(声:岩男潤子)は所属していたアイドルグループ「CHAM」を脱退して、若手女優への転進は図る。自分の意向に反するも、事務所の意向に流されるようにレイプシーンやヘアヌード写真集など、アイドル時代には考えられなかった過激な仕事をこなしていく美麻。アイドル時代からのファンが失望する一方で、次第に女優として地歩を固めていく。しかし、未麻はアイドル時代の自分自身の幻影を見るようになり、精神的に不安定になっていく。さらに事務所に手紙爆弾が送りつけられたり、仕事関係が次々に殺害される事件が起こるが……。
パーフェクトブルー 予告 / Perfect Blue Trailer
洋画のサスペンス・スリラーの影響が各所に伺えるが、低予算のアニメ映画でよくここまでできたなと感心させれれる。後に監督がメジャーになり潤沢な予算で制作した作品に比べれば完成度はイマイチだが、尖っているというか勢いが感じられる。
現実と幻想が混濁していくあたりの流れは素晴らしいし、ルミ(声:松本梨香)が、未麻を追いまわすラスシーンでのオチは、アニメでなければできない表現であり、監督の才気がほとばしっている。
個人的には、江口寿史がキャラデザインした、かわいい少女が魅力的に動き回るだけで楽しいし、さらに個人的には岩男潤子の主演作という点でも忘れらない作品である。
多少細かい話になるが、ルミが未麻のためにインターネットの設定をするシーンがちょっといい。Macintosh PerformaやNetscapeが懐かしい。いま見るとあの頃の話なんだなとあらためて回顧できるのも、おっさん世代にはうれしい。
この作品は今敏監督の初期作品として重要であるにもかかわらず、過激な暴力描写のため地上波では放送できないだろうし、ネット配信すら制限されるかもしれない。そのため見る機会が少ないアニメ作品となっている。今回、大きなスクリーンでみることができて幸甚だった。