退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

『東京ゴッドファーザーズ』(2008)

シネコンで『東京ゴッドファーザーズ』(2003年、監督: 今敏)を鑑賞。これまで作風が苦手で、なんとなく敬遠していたが、普通に面白い。傑作といってよい。

まず、ホームレス三人組の声優がいい。江守徹梅垣義明は予想どおり芸達者だが、家出少女のミユキ役の岡本綾が、特にすばらしい。キャスティングが絶妙。

ご都合主義の「奇跡」が次々の起こるのはどうかと思うが、テンポがよく展開するストーリーはエンターテーメントのツボをおさえている。人情話がやや鼻につく気もするが、これからの寒い季節にふさわしいハートウォーミングな作品でもある。

ストーリー自体は地味なので実写でもいいのではないかと思うが、アニメならではの味わりが結果として奏功している。最後にタイトルの意味がわかるのも心にくい演出だ。