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退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『黒田騒動』(1956) / 福岡藩のお家騒動を映画化

新文芸坐の《日本映画の未踏の頂 巨匠・内田吐夢のダイナズム》で映画『黒田騒動』(1956年)を鑑賞。片岡千恵蔵が大膳を演じたいということで映画化されたとか。初見。

三大お家騒動のひとつされる福岡藩「黒田騒動」を題材に取った東映時代劇。千恵蔵が演じるのは家老・栗山大膳です。存在感は半端ないのですが、良くも悪くもこの時代の東映映画は千恵蔵が出れば千恵蔵のための映画ということでしょう。

お家騒動の経緯は少しややこしいのすが、後年島原の乱として暴発するキリスト教徒がお家騒動に深く絡んでくるという設定になっているのがユニーク。いまで言えば「イスラム国」のような邪悪な存在として描かれています。女スパイがハニトラ要員として活躍します。

映像的にすごいなと思ったのは、大船・鳳凰丸の建造のシーンです。なかなか豪華なセットで金がかかっています。もっともこの鳳凰丸は、幕府の見分が行われる前に藩取り潰しを回避するため、大膳により爆破されてしまいます。ああ、もったいない。

あとは大膳を追悼する藩の手勢が屋敷を取り囲むシーンも驚きました。大砲で屋敷を攻撃します。家老屋敷なので市街地だろうにいいのかなと見ていました。屋敷内で家人たちが怯える姿がリアルです。

結局、お家騒動は幕府の判断にまかされることになります。あわや取り潰しかと思いきや、「五十二万石召し上げ、そして同時に五十二万石即日下げ渡し」という日本人が好きそうな裁定で一件落着。大膳は陸奥国盛岡藩の預かりになります。福岡藩はその後、維新まで存続するので、大膳は一身を賭して藩を救ったことになるのでしょうか。

ちょっとややこしい話なので見る人を選ぶかもしれませんが、黒田騒動の新解釈として見ると面白いかもしれません。

ちなみに映画のポスターでは、千恵蔵が黒田如水拝領の兜をドヤ顔で掲げてポーズをとっています。大膳が盛岡藩預かりになったときに持参した兜は盛岡の歴史文化館に所蔵されているとのことです。

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