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退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【読書感想】 柴田元幸 (翻訳), 木村草太 (監修)『現代語訳でよむ 日本の憲法』(2015年、アルク)

面白い企画の本です。最初、日本国憲法は口語体で書かれているのにいまさら現代語訳とは何だろうと思いました。

日本国憲法は1946年11月3日に交付されましたが、同じ日に「英語官報号外」にThe Consititution of Japan (日本の憲法)が掲載されました。これを御大・柴田元幸先生が現代日本語に訳すというのがこの本の企画です。実務翻訳者ではなく文学者が訳すというのがミソです。

CD付 現代語訳でよむ 日本の憲法

CD付 現代語訳でよむ 日本の憲法

翻訳のソースはいわゆるGHQ草案ではなく、日本国憲法とセットで日米双方で練られきただろう日本国憲法英語版です。GHQ占領下の日本では官報がいちいち英語に訳されていたそうですが、統治の都合を考えれば自然なことかもしれません。

見開きの左に現代日本語訳、右に原文と簡単な語釈とという構成で、余裕のあるレイアウトでとても読みやすい。巻末に掲載されている柴田元幸さんと木村草太さんの対談では、翻訳にあたり議論のあった点への言及もあり興味深く読みました。

安倍政権下のおける安保法制の議論のなかで、今年はこれまでになく憲法議論が盛り上がりました(過去形なのが残念)。いまこそ日本国憲法を改めて読みなおすいい機会です。その際、英語版との対訳で読んでみるのも一興かもしれません。

この本にはCDが付いてきて、声優の関俊彦さんのナレーションで柴田版現代語訳全文が収録されています。さわやかすぎる気もしましたが、担当者に声優ファンがいたのかしらん。