退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【読書感想】宮木あや子『校閲ガール』(KADOKAWA、2014年)

この本は、タイトルだけで選んだ覚えがあるが、積んどくされていた本をようやく読み始める。ラノベというカテゴリーに入るのは分からないが読みやすい。

ファッション雑誌の編集を志望して総合出版社に入社した河野悦子(こうのえつこ)が配属されたのはなぜか校閲部。彼女は不本意ではあるが駆け出しの校閲者として働くが、周辺にいろいろな事件が起こるというフィクションである。

校閲ガール

校閲ガール

主人公・悦子はこんな人だ。北関東のスーパーのオーナーの娘として、お金には不自由なく育つ。高校卒業後、田舎から逃げるように東京のお嬢様学校である「聖妻女子大学」に進学。ファッション誌への思い入れで、難関の出版社の入社試験を突破するも、なぜか校閲部に配属される。

出身校の「聖妻女子大学」というのは、もちろん架空の名称だが、聖心女子大学なのか清泉女子大学なのかそれとも大妻女子大学なのか……。若手の編集者からはFラン呼ばわりされるありさま。良妻賢母をモットーとするが、まあ出版社には似つかわしくない学歴のようだ。同期に東大卒の女性が登場するが、そこは「東京大学」と実名なのにね。まあいいか。

会社のセクショナリズムが表出しているエピソードが多いが、実際の会社にもありそうでリアリティがあって面白い。入社試験では、悦子は校閲部の部長の引きで入社が決まるが、日本企業でも現場の管理職の判断で採用が決まることがあるのかしらん。

一方、気になるのは悦子が上司や先輩に対しても終始タメ口なところ。いやいや、出版社のカルチャーは分からないが、さすがにないよねぇ。おっさんとしては、かなり気になった。しかもお嬢さん学校の出身なのに。「ごきげんよう。さようなら」みたいなノリじゃないのかな。

また、この本のカバーには登場人物のイラストが載っています。このキャラでアニメ化してくれたら見てみたいかも。続編も読んでみたい。