この前、観始めたテレビドラマ「大地の子」(全6巻)を観終わりました。中国残留孤児をテーマにした山崎豊子の同名小説の映像化。1995年にNHKで放送されたドラマです。
- 出版社/メーカー: NHKエンタープライズ
- 発売日: 2002/09/06
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映画「沈まぬ太陽」を観たり、現在放送中のテレビドラマ「不毛地帯」の影響を受けたりして、個人的なプチ山崎豊子ブームのなかこのドラマを観てみました。
スケールの大きな素晴らしい人間ドラマです。最終巻の製鉄所開業、そして親子で長江を下るシーンには、これまでの主人公の数奇な運命が収斂されていて感銘を覚えます。
このドラマが素晴らしいのは、リアリティを感じさせる点でしょう。綿密な取材による実話に基づく話とありますが、どれだけリアリティがあるかどうかは正直わかりません。それでも少なくとも見ている人にリアルだと感じさせるだけの力があります。
出演陣では仲代達矢、上川隆也もよかったのですが、主人公(上川隆也)の中国人養父役の朱旭の演技が白眉です。
このドラマはあまり人気がないのか、順調にDVDを借り出してこれました。まだ観ていない方は、ぜご覧になることをオススメします。テレビドラマの最高峰といってもいいでしょう。
このドラマには考えさせられることが多いのですが、その一つは中国残留孤児問題です。これは「戦争の悲劇」とされています。そうは言っても国家は戦争を避けられない場合もあるでしょう。でも「やるからには勝つ」、そして「負けるにしても負け方がある」ということを強く思います。このドラマはソ連軍の苛烈な満州侵攻から始まりますが、もう少しうまく終戦処理をできなかったのか、また関東軍が民間人を残して真っ先に撤退するのは何事か、といまでも思わずにはいられません。
こうした責任問題を当時の日本はどのように精算したのかと考えると、その禍根をいまも抱えて現在に至っていて、現在のわが国の指導者も当時とそれほど体質が違いないのではないか、という疑念が残ります。