前作『監督不行届』はコミックエッセイだったが、今回は文書版エッセイ。
庵野秀明監督と結婚後、新婚生活を描いた『監督不行届』だったが、本作は、その後をつづった文章版エッセイ。結婚して20年経ったらしい。続編のコミックエッセイを期待して買う人が多いのだろう。しっかり「文章版エッセイ」と念押ししてある。
彼女のエッセイはどうなんだろうと思って読み始めるが、実に面白い。エッセイストとしても十分やっていけるのはないか。巻末の監督へのインタビューには、本質を掴む力がある上に伝えるのがうまいとあったが、なるほどと思った。
とくに監督の服を選ぶエピソードや、監督に味噌汁を作らせるエピソードが面白い。監督曰く「結婚してなかったら、糖尿病かなにかで死んでいたんじゃないか」とあったが、夫婦の理想的なカタチが垣間見える気がした。まさに一期一会。
監督への思いが満ちた一冊でほっこりする。結婚もうまくいくとこうなるのかなと思わせる。ふたりとも人間としての器が大きいのだろう。