退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

OVA「沈黙の艦隊」を観る

かわぐちかいじ原作のコミック「沈黙の艦隊」が、大沢たかお主演で実写化されている。この公開間近の実写映画のプロモーションの一環なのか、OVA版がAmazonプライム・ビデオが全3作が公開されていたので見てみた。

日米の協力で秘密裏に建造された最新の原子力潜水艦「シーバット」に乗り組んだ海江田艦長以下が、計画的な反乱を起こし、独立国家「やまと」を宣言し、全世界を敵にまわすという荒唐無稽な物語。原潜「やまと」が米艦隊をあっさり壊滅させたり、「そうはならんやろ」と言いたくなるが、フィクションなのでいいことにしよう。

原作コミックの連載が始まったのは1988年であり、ソ連時代の東西冷戦が背景になっている。その後、OVAが1995年から1998年にかけて製作されている。当初、テレビ放映する予定でアニメ化されたが、「諸般の事情」によりテレビ放映が中止されてOVAとしてリリースされた。その後、OVAが2本(VOYAGE2、VOYAGE3)追加で制作され、北極海海戦での米原潜「シーウルフ」との戦いまでが描かれている。

この「諸般の事情」というのが気になるが、フィクションとはいえ米軍と自衛隊が戦うというのがマズいということになったのだろうか。原作では海自の護衛艦が米海軍に撃沈されて、海自の艦隊が甚大な被害を出すわけだが、アニメではやや抑えた演出になっている。

さてアニメ版を見始めてまず思ったのは、アナログ放送時代なので仕方ないが画角が狭いこと。こんな画面で観ていたのだと思うと、懐かしいというより貧乏くさいなというのが率直な感想である。当然画質もイマイチ。それでも、このサンライズ制作の本作アニメはよくできており、いまでも十分楽しめる。オススメです。

まあ現代のCG技術を駆使した映像とくらべると戦闘シーンなどは物足りない気もするが、こればかりは仕方ない。また声優については、ベネット米大統領の声はイメージとちがった。もう少し威厳というか押しが強くあってほしかった。それにしてもこれほど女性がでないアニメも珍しい。

原作では北極海海戦を制した「やまと」は国連本部の目指しニューヨークに向かうのだが、アニメ化されることはなかった。残念。