【映画感想】『グランド・マスター』(2013) / ウォン・カーウァイ監督による葉問の伝記映画

録画しておいた映画『グランド・マスター』(2013年、監督：ウォン・カーウァイ)を鑑賞。詠春拳の達人として知られる武術家の葉問（イップ・マン）を描いた伝記映画。主演はトニー・レオン。

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北部と南部の流派統一を進めていた北の八卦掌を率いるパオセン（ワン・チンシアン）が、高齢のために引退を決意する。南の詠春拳の使い手イップ・マン（トニー・レオン）と引退試合を行い、イップ・マンを後継者〈グランド・マスター〉に指名する。パオセンの弟子のマーサン（マックス・チャン）はこれに反発し、パオセンの娘で奥義六十四手の使い手ルオメイ（チャン・ツィイー）も父の反対を押し切りイップ・マンに挑戦するが……。

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なんとなくアクション映画を期待して見てみたが、全然違っていた。アクション映画というよりも、イップ・マンの伝記映画であり、人間ドラマを中心に描かれている。アクション映画でスカッとしたい人には向かない。

それでも武術家を描いた映画なのでアクションシーンは避けられない。たしかにアップの多いカット割りとスローモーションを駆使した映像美は素晴らしいが、どうしてもコレジャナイ感が残る。トニー・レオンがアクションができないから、こういう演出になったのかもしれないが、ウォン・カーウァイ作品がこうなるのは必然だったろう。最初から気づくべきだった。

実話を基にしているのでめちゃめちゃなストーリーにするわけにもいかないのだろうが、3人の愛憎劇もそれほどドラマチックでもなく、総じて説明が多くて冗長に思えた。単純にカンフー映画を見たかったのに、そうした映画ではなかった。そのラストまでギャップが払拭できなかった。

映像的に見ごたえがあるシーンもあるが、そもそもウォン・カーウァイがンフー映画を撮るという企画自体に無理があったと言わざるを得ない。