ちょうど東京五輪が開催されていた時期に、NHKが1995年に放送した「映像の世紀」(全11集)が再放送された。
20世紀は動く映像として歴史を記録することが可能になった最初の世紀となった。この「映像の世紀」と呼ぶにふさわしい20世紀の記録映像を世界中から発掘・収集して構成されたシリーズ。とくに編集が秀逸で、素晴らしいドキュメンタリーに仕上がっている。山根基世のナレーション、加古隆の音楽も冴えている。大傑作。
20世紀は「映像の世紀」であると同時に、「戦争の世紀」でもあった。このシリーズでも絶えず戦争が取り上げられている。目を背けたくなる悲惨か映像もあるが、全員が刮目して見るべき番組である。とくに科学の進歩にともない大量殺戮兵器が次々に登場してくるあたりは、工学部出身者としては考えさせられことが多い。
ぜひ一度は見てほしいドキュメンタリーとして強くオススメしたい。
その後、このシリーズを受けて、2015年からNHKスペシャル「新・映像の世紀」(全6集)が放送されたが、こちらはイマイチだった記憶がある。薄味というか、駆け足というか物足りなく感じた。旧作のトーンで「アメリカ同時多発テロ事件」「アラブの春」などの事件を見たかった。