退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『パパはわるものチャンピオン』(2018) / 悪役レスラーの父親と息子の絆を描く

DVDで映画『パパはわるものチャンピオン』(2018年、脚本・監督:藤村享平)を鑑賞。原作は板橋雅弘吉田尚令による絵本。主演はプロレスラー・棚橋弘至。ほかにも新日本プロレスの現役レスラーが多数主演している。

人気と実力を兼ね備えたエースレスラーだった大村孝志(棚橋弘至)は、膝を故障していまや悪役レスラーとして観客からブーイングを浴びる日々を送っていた。妻の詩織(木村佳乃)は応援してくれるが、9歳になった息子の祥太(寺田心)に自分の仕事を打ち明けられずにいた。ある日、孝志をこっそり尾行した祥太は、父親の仕事を知ることになり、「わるもののパパなんて大嫌いだ」と言い放つが……。


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プロレスシーンは本物のレスラーたちが出演していてホンモノなので迫力がある。しかし本物のレスラーを出しておけば、映画の多少のアラはどうでにもなると思ったのか、映画としてはあまり面白くない。

テーマが説教的というのか、「悪役レスラーでも立派な職業で家族ために頑張っているのだ」という浪花節なのがつまらない。子ども向けということを考慮しても、いまどきどうかなと思ってしまう。いまの子どもはこんなに単純じゃないのではないだろうと思ってしまう。

惜しい点は多々あるが、いちばん残念だったの仲里依紗 が演じたは、三枚目のプロレスマニアの記者を十分に活かせてない点である。父親と息子の話ではあるが、ここは記者の視点から物語を再構築するぐらいの挑戦がほしかった。

せっかく新日本プロレスのレスラーが大挙出演しており、息子役の子役も上手いし、仲里依紗木村佳乃など大物女優を投入しているのにもかかわらず、映画としてはイマイチ。

この映画を見た子どもがどんな感想を持ったのか訊いてみたい。これを子どもたちが面白いと言うならば、こうした映画を楽しめない、汚れたおっさんの戯言ということになるが……。果たしてどうだろうか。