東京国立近代美術館で開催中の「高畑勲展─日本のアニメーションに遺したもの」を見てきました。さいわい混雑もなく比較的ゆったりと見ることができました。
順路の最初に、高畑勲の業績と業界や社会の動きをまとめて年表がありました。年表は時代を遡るかたちだったのでやや戸惑いましたが、そのあとの展示は、時間軸に沿って古い作品から順番に紹介していきます。
どの作品も思い出があり興味深く展示を見ましたが、なかでも充実していたと感じたのは、「太陽の王子 ホルスの大冒険」(1968年)と「アルプスの少女ハイジ」(1974年)でした。
とくに高畑の初監督作品になった「太陽の王子 ホルスの大冒険」については、監督直筆の制作資料を含めて、スペースを割いて多くの資料が展示されていて見応えがありました。この作品はいまでこそ高い評価を得ていますが、興行的には「大コケ」だったことも知られています。ターゲットに訴求できなかった理由について、展示のなかで深掘りがあってもよかったかもしれません。
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太陽の王子 ホルスの大冒険(予告編)
また「アルプスの少女ハイジ」は、以後続く「赤毛のアン」などの「世界名作劇場」シリーズにつながる作品で、とくに会場で上映されていてOPのアニメーションはいま見ても神がかっている。展示には、ジオラマや小屋内部の再現などがあり充実していました。

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展示会を見終わって感じたのは、高畑勲がすごいのは間違いないが、それだけでなく宮崎駿をはじめとする才能のあるクリエーターたちとの出会いによって、素晴らしい作品が生み出されたことがよくわかります。それぞれのクリエーターを追いかけてみるのも面白いと思います。
私は、こうしたイベントではなるべく音声ガイドを借ります。今回は作品紹介ごとにアニメ音楽が流れてくるのがとてもよかったです。また高畑といっしょに仕事をした人たちの肉声を聞くことができます。割り高に感じるかもしれませんが、本展の音声ガイドはオススメです。