DVDで映画『海難1890』(2015年、監督:田中光敏)を鑑賞。1890年に起きたエルトゥールル号遭難事件と、1985年のテヘラン邦人救出劇の二部構成。日本とトルコの友好125周年を記念して製作された日本×トルコ合作映画で、実話に基づく映画である。
- 発売日: 2016/06/08
- メディア: Blu-ray
エルトゥールル号海難事故編
オスマン帝国の日本への親善使節を乗せたエルトゥールル号が、1890年帰路の途中、台風に遭遇し紀伊大島沖で座礁し水蒸気爆発のため沈没する。爆発音を聞いて岸壁に駆けつけた村民たちは、台風のなか総出で献身的に救助活動にあたる。医師の田村(内野聖陽)とハル(忽那汐里)は負傷者の手当に全力を尽くす。結局、500名以上の犠牲者を出す大惨事になったが、その後生存者たちと村民たちの間に交流が芽生える。数年後、遺品回収の終えた、事故の生存者ムスタファ(ケナン・エジェ)は感謝の念の抱きつつ帰国する。
テヘラン邦人救出劇編
時は流れ1985年、舞台はテヘランに移る。イラン・イラク戦争が激化し、空爆が続くなか地下壕でトルコ職員・ムラト(ケナン・エジェ)と現地の日本人学校の教師・春海(忽那汐里)が出会う。その後、サダム・フセインは48時間後にイラン上空を飛行するすべての飛行機を無差別に攻撃すると宣言する。日本大使・野村(永島敏行)は日本政府に救援機の派遣を要請するが無駄に終る。そこにトルコが日本人のために追加の救援機を派遣を決断したことがわかり、空港に向かうがそこには救援機を待つトルコ人で溢れていた。日本人たちは搭乗を諦めかけるが、そのときムラトが進みでて、エルトゥールル号海難事故のことを思い出してほしいと語り始める。トルコ人たちはかつて日本人が示した真心を思い出し、日本人を救援機に乗せて自らは陸路で避難することを決める。
感想
エルトゥールル号海難事故の艱難事故と救助パートは迫力があって見ごたえがあった。その後、村民と心が通い合うのもハートウォーミングな展開で心地いい。着物姿の忽那の演技もなかなかよかった。前半は合格点。
だが後半のテヘラン邦人救出劇は、やや物足りない。混乱するテヘランは緊迫感があるが、避難しようとする日本人たちに緊張感が感じれない。後半はまるっと要らないのではとも思わなくもないが、前半と後半がセットではじめて成立する映画だから仕方がないのだろう。
そもそもトルコ大使館の職員・ムラトの「日本人を助けてあげようよ!」というスピーチで空港に集まったトルコ人たちが、混乱もなく飛行機を譲るものどうも嘘くさい。命がかかっているのにこうも簡単に救援機を手放すものなのか。まあ本当に起こったことだからと言われると返す言葉はないが……。
あと個人的な趣味だが、救出パートで瀕死の乗組員を人肌で温めることになり、遊女役の夏川結衣が脱ぐシーンがあったが、これが残念だった。「きた~」と思ったのもつかの間。見えたのは足元だけ……。なんだそれは!せめて肩や背中ぐらい映してほしかった。このシーンで私の採点簿で大幅減点になったことは言うまでもない。
それにしても日本だけ邦人を救助するための救援機を出せないのはどういうことだったのだろう。さすがにこれじゃマズいと思ったのか、その後、政府専用機が配備さえることになった。当時のテヘランにいた日本人は何のために税金払っているのか分からんと思ったことだろう。