映画にもなったコミック『テルマエ・ロマエ』の作者・ヤマザキマリによる初の美術論。筆者がただの漫画家ではなく、高校を中退した後、単身イタリアに渡り美術を学んだということは、以前読んだエッセイ『国境のない生き方: 私をつくった本と旅』で知っていた。だから、この本を見かけても驚かなかったし、ルネサンスを取り上げたのもアリだなと思った。
- 作者: ヤマザキマリ
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2015/12/17
- メディア: 新書
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本書は「変人」をキーワードにした美術家列伝。まっとうは美術論でありながら、ルネサンス期の美術家たちを面白く解説していてカジュアルで読みやすい。自身のイタリアでの体験と関連付けられているので説得力がある。
読んでいて「あれ?」と思ったのは、神聖ローマ皇帝のフリードリヒ2世(イタリア語読みではフェデリーコ2世)のセクション。最初、プロセイン国王のフリードリヒ大王(1712-86)のことかと思ったが、そんなわけなく当然まちがい(ややこしい)。それにしても13世紀前半に活躍したフリードリヒ2世(1194-1250)に、14世紀に始まったとされるルネサンスの精神的な起源を求めるのは意外に思ったが、本文を読んでなるほどと感心した。
今年は「日本イタリア国交150周年」とのこと。その恩恵なのか東京では展覧会が目白押しだ。現在もボッティチェリやダ・ビンチの展覧会が開催中なので、出かける前にこの本で予習していくとより展示品を楽しめるだろう。
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