退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

岡崎京子のコミック『pink』を読んでみた

週末、岡崎京子のコミック『pink』を数年ぶりに読んでみた。1989年に「Newパンチザウルス」に連載されたのが初出。短いエピソードで構成されているので読みやすい。

pink

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昼はOL、夜はホテトル嬢をしながらワニを飼う22歳のOLユミが主人公。ユミが大切したワニが継母によって殺されてワニ皮のバックになってユミの元に送りつけられてくる場面がシュール。

またユミに、継母の愛人ハルオ、そして実父と継母との間の娘ケイコ(ユミの腹違いの妹)の二人を加えたの三人(とワニ一匹)の幸せな生活が印象に残る。最後はハルオが事故死してあっけなくエンディングになり乾いた読後感を残す。

いま読んでもまったく古い感じがしない。若い人は「岡崎京子って誰?」と言うかもしれないが、2012年に沢尻エリカ主演で映画化された『ヘルタースケルター』の原作者だと言うと思い当たるだろうか。この作品は、『ヘルタースケルター』へ至る過程のなかで作風の転機になった作品に位置づけられる。

岡崎京子は、1996年に事故に遭って以来、事実上休業しているため新作が読めないの残念だが、過去の作品が次々と復刊された。そのおかげで比較的豪華な装丁で過去の作品に触れるることができる。この本もその中の一冊。ピチカート・ファイヴをBGMにして作品に没入するのがよいだろう。
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