新文芸坐の《川島雄三と鈴木清順 絶対熱烈支持宣言》で映画『とんかつ大将』 (1952年、監督:川島雄三)を鑑賞。
「とんかつ大将」というタイトルからとんかつ屋のオヤジの話みたいだが、東京の下町の長屋に住む青年医師(佐野周二)と、市井の人々のとの交流を描く人情話。
青年医師が弱みを見せないので完璧すぎて面白みがない。長屋に隣接した病院の拡張計画の不正を暴いたり、火事のなかで手術を成功させたり、盲目の少女の目を治療したり大活躍。しかも周りの女性のモテモテ。
その後、青年医師は大物政治家の息子であることが判明し、父が脳梗塞倒れて大阪に帰っていく。車に乗って長屋を去っていくなか、好物のとんかつを渡されるラストが印象的。それにしても何のために下町に住んでたんだろう……。
あまり捻りがなくて面白みがない映画だが、青年医師と同居している艶歌師を演じた三井弘次は一見の価値あり。