シンガポールの「建国の父」として知られる、リー・クアンユー元首相(Lee Kuan Yew)の訃報が届きました。91歳でした。
彼の功績は自国の経済的発展を最優先し、世界でも稀な都市国家として経済大国の地位を築いたことでしょう。その一方で民主政治や人権尊重といった普遍的価値に反して言論や報道の自由を規制したりもしたので、その評価は毀誉褒貶相半ばしています。しかし経済発展により、たいがいの問題は解決できるも事実。シンガポールの1人あたりのGDPは日本を軽く凌駕しています。
私はシンガポールには何度か行ったことがります。都市部の繁栄は目を見張るばかりで、地下鉄の素晴らしさは路線の老朽化が進む東京を圧倒していました。そして空港やホテル以外では言葉の壁を感じる国が多いなか、英語がどこでも通じるのがありがたい。安心感がちがいます。それでも住んでみたいとは思いませんでしたが……。
また当時勤務していた会社のシンガポールの拠点では、マレーやスリランカやフィリピンなどいろいろな国の人が働いていて驚きました。どのような資格で働いているのかという、立ち入った話はしませんでしたが、国策として周辺国から優秀な人をかき集めてきているのがわかり興味深く思いました。
日本との関係でいえば、日本からの開放を祝う巨大な記念碑が印象に残っています。もちろん1942年から1945年まで旧日本軍による占領と軍政があったことは歴史として知っていましたが、実際に記念碑を見ると、改めて当時の日本軍がこれほど遠方まで侵攻してきたことに驚きます。リー・クアンユーは日本軍には否定的だったそうですが、シンガポールでは反日感情を感じたことはありません。まあビジネス上の付き合いが優先されただけかもしませんが。
今回、「建国の父」の訃報を聞いて改めて、都市国家として経済的に成功したシンガポールについて知りたくなりました。光と影が相半ばしているところにも惹かれます。また誰だったか失念しましたが、ある知識人が自民党政権は日本をシンガポールのようにしたいと思っていると看破していていました。それが当たってるのかどうかを含めて、シンガポールについて知る必要がありそうです。