退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『白昼の女狩り』(1984) / お蔵入りになった問題作。ロマンポルノでも濡れ場があれば何でもいいというワケではなかった…

シネマヴェーラ渋谷で、『白昼の女狩り』(1984年)を鑑賞。今年の8月に死去した曽根中生監督の追悼企画《追悼!曾根中生》のなかの1本。ロマンポルノとして制作されポスターまで用意されたが、日活上層部の判断により長らくお蔵入りになっていたが、2012年にユーロスペースで初公開されたいわくつきの作品。

サバイバルゲームよろしく迷彩服に身をつつんだ3人の男が、マシンガンで武装してゲーム感覚で女性を次々に襲うという突発性の暴力を描く。その過激な暴力描写のためか、制作当時公開が自粛された幻の一本。

「ロマンポルノは適度に濡れ場があれば内容な何でも許された」などと言われる。実際、様々なテイストの作品が残されており、そのなかから多くの監督や俳優も輩出している。それでも、今でいうコンプライアンスに違反して公開できない作品もあったようだ。

殺人グループのリーダーをなぎら健壱が演じていたり、最初の被害者のカップルの一人が南伸坊だったりキャスティングが異色である。そしてヒロインの加来見由佳も80年代の可愛い子ちゃん然として魅力的である。

終盤ヒロインが殺人グループに逆襲するところが見どころ。ラストシーンで、軍服をまとったヒロインが赤い車で新宿に乗り付けて、マシンガンでを乱射するシーンで終劇。薬師丸ひろ子角川映画セーラー服と機関銃』(1981年)のオマージュだろうか。

スタイリッシュでなかなか面白い作品なのでいちど見てほしいが、当然のようにソフト化されていない。テロやアナーキーがエロより前面に出ると作品は行きどころがなくなるようだ。ロマンポルノでいまだに他にお蔵入りしている作品があるのなら、そろそろ蔵出ししてほしい。
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