Huluでテレビドラマ『関ヶ原』を観た。これは TBSにて1981年新年に三夜にわたり放送された大型時代劇である。司馬遼太郎の同名小説が原作。天正遣欧少年使節の一員(田中健)がローマ法王庁に関が原の成り行きを書簡で知らせる形式で語られる。
このドラマはキャスティングが豪華である。主役の石田三成役に加藤剛、徳川家康役に森繁久彌という配役が絶妙なことに加え、三船敏郎・宇野重吉・辰巳柳太郎・杉村春子といった当時の重鎮を脇役に配している。他にも三國連太郎、芦田伸介、丹波哲郎、藤岡弘、竹脇無我、三浦友和、細川俊之らが戦国大名を演じている。奇跡のキャスティングである。映画でもこれほどの俳優を集めた作品はない。
このドラマの最大の特徴は、石田三成を奸臣ではなく、融通はきかないものの「豊臣家への忠義に熱い正義の人」とした描いている点であろう。さらに徳川家康は冷徹な陰謀家としてだけなく、終盤、豊臣家の忠臣としての三成に敬意を表して涙するという場面が設けられている。家康をこうした懐の深い人物として描くのはちょっと違うのではないかという気もするが、このドラマの特徴的な解釈となっている。
一方、合戦シーンはカネがかかっているのはわかるが、いまひとつ迫力に欠ける。黒澤明の映画と比べるのは酷であろうが、大河ドラマ『葵・徳川三代』と比べても物足りない。やみくもにエキストラを集めても結果に結びつかないことがわかり興味深い。それでも、上記の豪華出演陣の掛け合いを楽しむだけでも十分価値がある。
このような昔のテレビドラマをネットで楽しめるようになったとは、いい時代になったものだ。