退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『大統領の料理人』/ あっさり辞めちゃっていいの?

新文芸坐で映画「大統領の料理人」(2012年、監督:クリスチャン・ヴァンサン)を鑑賞する。原題は"Les saveurs du Palais"で直訳すれば「宮殿の味々」といったところか。併映は「タイピスト!」だった。フランス映画2本立て。

田舎でレストランを営む女性料理人がミッテラン大統領のプライベートな料理人としてとしてスカウトされて、料理と情熱で大統領を魅了する、といった話だ。

冒頭、フランスの南極基地の場面から始まる。「あれ、舞台はエリゼ宮のはずでは…」と思っていると、基地は主人公オルタンス・ラボリ(カトリーヌ・フロ)がエリゼ宮を辞めたあとに就いた職場であることが分かってくる。映画は、この南極基地とフランス大統領官邸・エリゼ宮の間を行き来しながら進行する。

料理モノの映画は、登場する料理が美味そうに見えればほぼ成功だ。この映画では美味しそうにはみえるがどんな味なのかまるで想像できない料理も多い。自分の食生活の貧しさにがっかりさせられる……。映画のせいじゃないけどね。

結局主人公は、宮廷での嫉妬や経費節減の圧力、そして大統領の健康問題による料理に対する制約などがイヤになってエリゼ宮を去る。でも制限があるなかでベストパフォーマンスを出してこそ「真のプロ」じゃないのかと思ったが、妥協を許さない性格なのだろう。

気に入ったシーンは、主人公が南極基地での人気を終えて離任する際のサヨナラパーティーだ。隊員たちにすごく愛されていることがわかるし、余興の寸劇もフランスらしい。

実話を基にしているので、ドラマチックな展開にはならないが、エリゼ宮の内部を垣間見るだけでも楽しいし、美味しそうな料理も「目」で堪能できる。

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映画『大統領の料理人』予告編 - YouTube