退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

水野麻子『語学力ゼロで8ヵ国語翻訳できるナゾ』(講談社プラスアルファ新書、2010年)

特許翻訳者のサクセスストーリー。まあ学歴や専門知識がないことをウリにして、「でもこんなに稼げました!」というのはやや下品かなと思うが、キャッチーではある。

まず「語学力とは何か」を考え直す機会になった。語学力という言葉は、各人がそれぞれちがったイメージで捉えていることがわかり興味深い。ただ書名の“語学力ゼロ”というのは言い過ぎかな…。

また仕事のプロセスを分解して効率を考えて再構築する手法は、他の分野でも活用できるそうだ。効率を高める具体的方法として、まっさきにATOKの利用を勧めているのはおもしろい。「やっぱり」という感じだ。

そして「一括置換」による翻訳方法も印象的。こういう世界もあるのか。こうした手法が適用可能な分野はいずれ自動翻訳に置き換えられて、翻訳者が失業するのだろか。少なくとも西洋語間では相当の精度で翻訳できそうな気がする。翻訳者の自動翻訳の脅威は、かなり前から言われているが日本語では当面は大丈夫なのだろうか。

そんなことを思いながらおもしろく読んだ。