退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

石川幸憲『キンドルの衝撃』

キンドルの衝撃

キンドルの衝撃

本書は、タイトルに「キンドル」とあるが、単なるキンドルの解説本でない。米メディア、とくに新聞・雑誌が、インターネットの普及や世界不況の影響で、大不振に陥って再編を迫られる現状を捉え、米メディアの将来を展望するノンフィクション。その再編の動きの象徴としてキンドルが取り上げられている。

この本を読むと、メディアのマネタイズが困難になりつつある現実を実感できる。この状況でジャーナリズムはどうなるかと思ったが、インタビューのなかでピューリッツァー賞なんて内輪受けにすぎず、読者本位で情報発信することが大事だと説くのが印象に残る。

本書の刊行後も、ついにアップルからiPadが発表されたり、日本でも日経経済新聞が有料で電子化されたり、電子書籍をめぐる動きは激しい。

本書は主に米メディアについて書かれているが、米国で起こったことは、日本でも必ず起こるだろうから、わが国のメディアの将来を占う場合にも十分に参考になるだろう。