退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

松本道弘『オバマの本棚』

オバマの本棚 ―人を動かす言葉の裏に膨大な読書あり

オバマの本棚 ―人を動かす言葉の裏に膨大な読書あり

本書は、オバマ大統領の本質に迫るべく、彼のスピーチの短い抜粋に解説を加え、テーマごとにオバマの愛読書30冊程度(TIME誌などのオバマ特集が組まれた雑誌を含む)を紹介している。

世間には出自に注目したオバマ論はよく見かけるが、愛読書に注目したのは斬新である。掲載された書籍を見ると、聖書やシェークスピアの悲劇などの古典が多いなという印象を受ける。そのなかには書籍ではないが、映画「ゴッドファーザー」やビリー・ホリデイの歌「恋は愚かというけれど」(I’m a fool to want you)が取り上げられているのは興味深い。

スピーチの解説では、“GetとGive” など往年の筆者の語り調子が感じられて懐かしく思った。学生時代には、武士道ならぬ「英語道」にシビレタものだ。さすがに、書店に溢れる「オバマ英語本」とは一味ちがう。裏表紙に、派手なネクタイをした筆者近影が大きく載っている。アイドル本でもないのに珍しいデザインだ。往年のファンはうれしいだろう。

注文を言えば、ISBN付きの書籍リストがあればさらによかった。