退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

『手錠のままの脱獄』(1958)

先日、映画館で高倉健が他の囚人と手錠でつながれたまま脱走するシーンのある「網走番外地」(1965年)を見て、本作「手錠のままの脱獄」(1958年、スタンリー・クレイマー)を見直してみたくなり、DVDを借りてきた。

原題は、The Defiant Ones というが、昔の邦題はすばらしいのが多かったが、これもなかなかいい邦題である。囚人護送車から白人と黒人が脱走するが、手錠でつながれていて離れられない。その二人は衝突を繰り返すが、いずれは友情が芽生えるといった話だ。

いま感覚からすれば、娯楽映画としてはもう少し何か付け加えてもいいかもしれないが、あっさり終わるところはシンプルでかえって新鮮である。練られた脚本は教科書的ともいえる作品で、一度は見ておきたい古典といってよい。

途中、母子家庭の母が登場するが、とても利己的で現実的な行動をするが、自分の経験の少ない経験を棚に上げて、古今東西、女はこうしたものかと思った。

当時の米国の社会問題である人種差別、銃社会といったテーマが詰め込まれている社会派映画だが、残念ながら現代においても、その問題の多くは解決されていないところは考えさせられるところが大きい。