DVDで映画『存在の耐えられない軽さ』(1988年、監督: フィリップ・カウフマン)を鑑賞する。ミラン・クンデラの同名小説の映画化。
舞台は冷戦下のチェコスロバキアのプラハ。主人公トマシュ(ダニエル・デイ=ルイス)は優秀は外科医であると同時に、複数の女性を浮き名を流すプレイボーイでもあった。自由奔放に生きるトマシュは、アーティストのサビーナ(レナ・オリン)と肉体関係を持っていたが、ふたりは一定の距離を保っていた。ある日、出張手術にでかけた街で知り合ったテレーゼ(ジュリエット・ビノシュ)と出会う。やがてテレーゼはプラハに出てきてトマシュと同棲を始めやがて結婚するが、トマシュとサビーナの関係はまだ続いてた。そしてプラハの春に誘発されて、ソ連軍がプラハ侵攻がついに始まり、3人は社会情勢の変化に翻弄されていく……。
The Unbearable Lightness Of Being - Trailer
邦題「存在の耐えられない軽さ」は、原題のThe Unbearable Lightness of Beingの潔いほどの直訳だろうが、映画はかなり重い。社会体制がどうなろうと愛するという人間の本能的な行為には普遍性があるし、併せて統制的な社会を背景に自由の重さも問いかけてくる。
公開当時、日本映画によく見られる文芸路線のエロス映画のように宣伝された記憶があるが、いまみるとエロスの描写はそれほど過激ではない。それよりも人間の本質に迫る骨太の映画として評価できる。歳をとってから見るとひときわ味わい深く観れる映画ではないだろうか。
上映時間3時間近い長尺だが飽きずに見られるのは美点。突然訪れるラストは呆気ないが結構好きだ。あとイケメンの医師が、"Take off your cloth."でどんどん女性を脱がしていくあたりはちょっと羨ましいかも。